IT企業が難病ALSを啓発。社会貢献以上に、伝えたいこと
「東京パラリンピック2020」の開会式で、アーティストの布袋寅泰さんと登場した“デコトラ”。煌びやかな衣装で先頭に乗られていたのは、武藤 将胤(むとう まさたね)さん。
昨年、武藤さん夫妻に密着したドキュメンタリー映画が、俳優の石原さとみさんのナレーションで公開されました。私は、これほどバイタリティにあふれた人を他に知りません。
我々アイルは、武藤さんが代表として活動する団体「一般社団法人WITH ALS(ウィズ エーエルエス)」を、スポンサーとしてサポートしています。
アイルはITサービスを提供する企業です。実は、同団体とサービスの関わりはありません。
ではなぜ支援を決めたのか。「WITH ALS」とはどのような団体なのか。そして、私たちアイルがなぜ同団体をサポートするのか、そこに込めた思いをお話しさせてください。
そして、「WITH ALS」主催でアイルが協賛している日本最大級のALS啓発音楽フェス「MOVE FES.2024」が、11月24日(日)に東京・渋谷の「LINE CUBE SHIBUYA」で開催!
リアル会場とオンライン・メタバース配信のハイブリッド開催で、来場・視聴を受付中(記事公開時点)です!
ALSとは…五感や知能は正常なのに、身体だけが動かなくなる難病
「一般社団法人WITH ALS」代表の武藤 将胤(むとう まさたね)さんは、音楽やファッションのセンスをいかしたプロダクトを数多く発表し、毎年イベントを主催するなど、活発に活動されています。
その武藤さんは、「筋萎縮性側索硬化症」(略称ALS)を患っています。2024年で38歳になる武藤さんは、約10年前の27歳で発症されたそうです。
ALSは、身体が次第に動かなくなっていく病気です。
筋肉に命令を出す運動神経が正常に働かなくなることで、徐々に身体が動かなくなっていきます。
明確な原因は未だ不明で、治療法も確立されていない難病です。
筋肉は意識的に動かしている手足などだけでなく、喉や瞼、心臓をはじめとした臓器など、生命維持に必要な全身の要素を動かしているものです。
筋肉が動かなくなるということは、運動機能だけでなく、食べ物を飲み込んだり、呼吸をしたりすることも難しくなっていくということです。
食事や呼吸を可能にするためのチューブや人工呼吸器による処置は可能ですが、気管切開の手術により声を失う可能性もあります。
病状の進行が速いことも特徴で、平均余命は発症から3~5年と言われています。
また、五感や知能は正常であり、身体だけが動かなくなるというのが、この病の恐ろしさであり、可能性でもあります。
見えるし、聞こえるし、感じて、考えることができるのに、それを表現し、行動で示し、人に伝えることができなくなるというのがどれだけ孤独か、想像してもらえたらと思います。
しかし、考えることはできるからこそ、自由がきかなくなる身体に代わり、テクノロジーを駆使して、ALSを患っても生活がしやすくなるようにと動かれているのが、「一般社団法人WITH ALS」の皆さんです。
さらに、ALS患者だからといって最低限の生活を可能にすることだけを考えるのではなく、知能に影響はない病だからこそ、その人の能力や感性を生かして、クリエイティブなことを可能にしようとさまざまな挑戦をされています。
「WITH ALS」の皆さんのメッセージも、この記事でお伝えしたいことも、決して難病に同情してほしいということではありません。
どのようなハンディキャップがあったとしても、「可能性を信じて行動を起こせば限界はない」ということです。
「一般社団法人WITH ALS」と、代表の武藤将胤氏について
武藤さんは27歳のとき、少し手が震えるくらいの症状から始まり、複数の病院で検査をしてようやく病名が分かったそうです。
大学でイベントサークルを立ち上げ、ファッションや音楽、DJが趣味で、念願の大手広告代理店 博報堂で働きながら、朝までクラブで音楽を楽しんでいたほど活動的な武藤さんが、病名や余命を聞いて絶望しないはずがありません。
でも、病院からの帰り道には「後悔せず生きる」と、前だけを見ることに決めたそうです。
著書にもありますが、「人生にリミットがあるのは皆同じ」です。
今健康でも明日どうなるかは分からない、いつかは一生を終えるのは誰もが同じでありながら、一体どれだけの人が、「人生を1秒も無駄にしない」と意識して日々を生きられているでしょうか。
武藤さんは、
これからの自分の時間を1秒でも無駄にしたくない。
治療法がなく、困っている患者が世界に35万人、日本にも1万人もいる、まだできることがたくさん残されているであろう難病だからこそ、自分の経験をもとに世界中のALS患者を救えたら。
そしてALSだからといって趣味を諦めることなく、人間らしく、その人らしくクリエイティブな活動を可能にできたら。
そうお考えになり、ALSの課題解決に向け活動する「一般社団法人WITH ALS」を立ち上げられました。
同団体では、指令を出せば代わりに動く分身ロボットや、あらかじめ録音した音声を、視線の動きで再生して会話を可能にする意思伝達装置などの販売・活用促進をされています。
さらに、スタイリッシュな電動車いすのシェアリングサービス、身体が動かしづらくても着脱しやすく、かつファッショナブルなアパレルの企画・販売など、エンターテイメント、テクノロジー、ヒューマンケア(介護)の3領域で活動されています。
筆者自身、何度も読ませていただいた武藤さんの著書。
年齢や環境、さまざまな状況のせいにせず、今からでも何だって挑戦できるんだと、エネルギーがわいてくる一冊です!
なぜ会社として支援するのか
私たちアイルが同団体に出会ったのは、2018年に主催した一般向けイベント「BACKYARD FES.」企画時です。
「BACKYARD FES.」は、ネットショップを陰で支える担当者に光を当て、裏側にある工夫やストーリーを共有し合うことで、業界全体をよりクリエイティブにすることを目的に開催しています。
同イベントのコンセプトに共感してくださった個人・団体に登壇や出店などのご参加をいただきたく企画するなかで、「WITH ALS」の存在を知りました。
未だ認知度の高くはない、陰に隠れた難病の啓発と課題解決に取り組まれながら、よりクリエイティブな可能性を追い求める活動に、アイルの考えと重なるものがあったことから、イベント参加をお声掛けしたことがご縁の始まりです。
「BACKYARD FES.」当日は武藤さんにもステージにご登場いただき、視線入力で音楽と映像を同時にプレイする「EYE VDJ」を披露していただきました。
状況・環境は違っても、陰に隠れた活動にフォーカスすることで、不可能があたりまえだという常識を打ち破り、誰もが平等に喜びを感じられる優しい世の中になるように…
「WITH ALS」の活動に賛同することで、アイルが企業支援を通して社会に伝えたいメッセージを広げられればと考えています。
そして、当社で働くメンバーにも、当社がご支援している企業さまにも、個人の日常生活ではなかなか味わえない刺激と人間の可能性を感じ、一歩踏み出す力を吸収していただくきっかけになればと願っています。
実際、社員から
本取り組みを知った企業さまからは、
協賛イベントに参加した社員のご家族から、
などの声があり、この取り組みがもたらす良い影響を感じています。
筆者自身、自社で関わることがなければ知ることのできなかった世界で、知れば知るほど、パワーをいただいています。
「MOVE FES.」について
一般社団法人WITH ALSは、ALSの啓発とボーダレスなエンターテインメント体験の創出を目的に、2016年から音楽イベント「MOVE FES.(ムーブフェス)」を開催しています。
武藤氏自ら、視線入力でDJパフォーマンスする「EYE VDJ」でオリジナル楽曲を披露するほか、この取り組みに賛同する多くのアーティストやクリエイターが、最新のテクノロジー技術などを活用してさまざまなパフォーマンスで盛り上げます!
2024年の開催はもう間近!現在(記事公開時点)も来場・視聴チケットの申し込みを受付中です!
開催概要
当日は、当社も同団体とのコラボレーショングッズをご来場の皆さまに無料でお配りします!
この日のために、当社デザイナーが心を込めて制作しました。
ご興味ある方は、チケットのお申込み、またはアイル広報にご連絡ください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
アイルとWITH ALSの今後の取り組みにご注目いただけますと幸いです!